れんさい

【連載SF小説】JOINT(ジョイント)(第13回)

5.待ちに待った親子キャンプとお弁当の昼12時(つづき)

 夕焼けだったのが、急速に暗くなってくる。

 D班11名、少尉の指示のもと、セルボ班長をはじめとした年長者が焚火に火をつけ、材料を切る係、焼く係、テーブルやいすをセットする係に分かれ、バーベキューがはじまった。

 俺ら?

 俺、ラパン、おケイ、フロンテの4人の最年少組は、へへへへ、味見の係。

なんて、それだけで済めばうれしいのだけど、給仕の係でもある。

せっせと料理を運ぶ。

運び終えたら食べる時間だ。

牛肉、豚肉、鶏肉、牛肉、豚肉、鶏肉、ぐるぐるぐるぐる肉を食べ続ける。

肉にあきたら、ロブスター、エビ、ホタテ、ロブスター、エビ、ホタテ……。海産物まつりだ。そしてそれにあきたら、最初にもどる。牛肉……。俺は、このバーベキューでは、好きなものしか食べない、そう心に誓っていた。

俺と競うように食べる奴がいる。

ラパンだ。

同期では俺とラパンが大食い。フロンテとおケイは小食だ。

もっともおケイは小食というより、好き嫌いが激しいという感じ。

肉はたべられない。魚介はものによりけり。エビやカニはアレルギーでだめ。魚も食べているのを見たことはない。貝とかワカメ、昆布は大丈夫。好きなのはパン、麺、ごはんと野菜やくだもの。ただし、トマトはだめ。

だから隊の食事では、メニューによっては、パン・麺・ごはんとサラダだけで済ますこともある。

ラパンとの勝負(?)に勝ち、パンパンの腹をかかえて、芝生に寝転がっていると、おケイがとなりにすわり、話しかけてきた。

「あんたにしろ、ラパンにしろ、よくあんなに食べれるね」

「無制限に肉を食えるのはこの時だけだからさ」

「うらやましいよ」

「やっぱり味がだめなのか?」

「味、ってわけでもないと思うんだ。エビ、カニは甲殻類アレルギーでじんましんがでるからダメだけど、昔は肉も食べてたし」

「へえ、いつくらいまで?」

「5歳くらいまで、かな?」

「とつぜん、食べられなくなったわけ?」

「そうだね、知っちゃって」

「何を?」

「食べられる牛や豚にも命があるってこと」

「そりゃそうだね」

「わたしたちと同じように生きている、そんな生き物の命をうばって食べるというのが、なんだかひどいことに思えて……」

「へえ、そんなこと考えたことなかったよ」

「そういうことばかり、いろいろ考えてたら、牛も豚も鶏も魚も食べられなくなっちゃった。これじゃいけない、って思うんだけど、どうしてもだめ」

「たしかに自分が牛や豚だったら、って思ったら、そうなっちゃうよな」

「うん」

 そこへ、ラパンがやってきた。ラパンはおケイの横にすわった。

「なにを話しているのし?」

 俺はおケイのことを説明し、

「ラパンはどうよ。いろいろおともだち(・・・・・)のいるお前だから、かわいそうとか思うんじゃないの?」

「うーん、わらしとしてはですね。考えられないのし。おなかがすいたら、食べちゃうしかないわけだから。かわいそうとかそういうことは、食べるときにはかんがえられないの。それに、もう、おともだちになっているわけだから……」

「へえ」

「いまも、そこやあそこに、牛、豚、鶏がいっぱい来てるよ」

 ラパンは焚火の周囲をぐるりと指さした。

「みんな、おともだち!」とラパンは立ち上がって叫んだ。

「そしてあそこに、人間のおともだち!」とラパンは一本の木を指さした。みんなが見た。暗がりの中、だけど、たしかに人の姿が見えた。

ひえええええ~~! 俺もおケイものけぞり、叫んだ!

そのおともだちがゆっくり近づいてくる。

うああああ~~、こないで! くるなあああああ~~! 叫び声があふれ出た。

おともだちが暗がりから出てくる。

「近づかないで~! 化けてでないで~~!」俺はどなった。

 

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